二十四節気による季節を表す言葉に「穀雨」というものがあります。
今回は、穀雨はいつなのかという疑問に答えながら、この穀雨の由来は何なのか、具体的な意味やその時期の食べ物は何なのか、2023年はいつなのかなど、今でも日本で残っている風習はあるのかを調べてまいります。
穀雨という言葉だけではわかりにくくても他の二十四節気や雑節と交えるとわかりやすくなります。
穀雨の意味や由来は?
二十四節気の1つである穀雨というのは名前からなんとなく察することができるでしょうが、「穀物を育てるのに必要な春の雨を降らせる季節であり、秋の方策を祈る季節」となっています。
中国では梅雨はありませんが、この穀雨のタイミングで雨の量が増えるようです。
ちなみに、この時期の雨は大変貴重なものであり、雨が降らないと不作になるとすら言われているので、この時期の雨には様々な表現が存在しています。
いくつか抜粋して記載すると瑞雨や催花雨や春霖や菜種梅雨といった春の雨を表す表現があります。
瑞雨は穀雨と同じ意味で穀物の生長を助ける雨であり慈雨とも呼ばれます。
催花雨とは植物の開花を促すような雨で、春霖と菜種梅雨は3月や4月に降る長雨という意味になります。
これらはかなり難しい表現なので、今は使っている人も少ないでしょうが、覚えておくと知識人として見られるでしょう。
また、穀雨のイメージが日本とマッチしないと感じている人は、今から2500年前の中国春秋戦国時代の洛陽を中心とした中原で広まった季節の考え方だから、地域による違いがあるとお考え下さい。
洛陽の平均気温を比較すると4月ごろにかけて急激な温度上昇があり5月に入るタイミングではすでに平均気温で25℃を超えているのです。
このように春の訪れが日本よりもはるかに早く、梅雨も台風もないのでそれだけ日本と季節感のずれが発生するようになっています。
2023年の穀雨はいつ?
2023年の穀雨は国立天文台発表の報告によると4月20日から5月5日までです。
立春から始まる節気は立春→雨水→啓蟄→春分→清明→穀雨と続いているので、6番目に該当するのです。
ちなみに、7番目が立夏であり、中国における夏のスタート地点と考えられているのですが、日本とは季節感がかなり違いますので夏とか春という考え方をそのままトレースするとズレが発生してしまいます。
また、ちょっとした豆知識ですが、西洋占星術ではこの穀雨が始まるタイミングをおうし座の始まりと考えているので、星座もついでに覚えることができます。
穀雨の時期はどんな季節なの?
穀雨の時期は、日本人にとってはゴールデンウィークに突入する大切な季節という感覚が強いでしょう。
大型連休が訪れるタイミングがこの穀雨になっていると覚えることができれば簡単なので、関連付けて覚えるようにしてください。
二十四節気をより細かく分けた七十二候と呼ばれるものがあり、今まで紹介した二十四節気を初候・次候・末候の3つに分けるのです。
穀雨の七十二候は
初候が葭始生ず
次候が霜止んで苗出ず
末候が牡丹華さく
となっております。
この七十二候は日本における考え方なので、日本における穀雨とは葦が芽吹いて霜が降りなくなって苗が育ち、牡丹が花咲く季節という表現が当てはまるのでしょう。
はっきり言ってゴールでウィークと絡めないと特徴が出てこない季節なので、記載しにくい季節でもあります。
穀雨の時期の旬な食べ物は?
穀雨の時期の旬の食べ物は4月から5月にかけて旬の食べ物となるでしょう。
4月と5月が旬な野菜やキノコ類や豆類はかなりたくさんあり、あしたば・アスパラガス・うど・かぶ・きくらげ・キャベツ・グリーピース・クレソン・こごみ・ごぼう・さやえんどう・さんしょう・しいたけ・ぜんまい・そらまめ・たけのこ・タラの芽・長芋・にら・のびる・ふき・ルッコラ・レタスなどが該当します。
果物はあまなつ・イチゴ・キウイ・グレープフルーツ・夏みかん・マンゴーなどが該当します。
魚だとさわら・しらす・めばるが該当し、海産物ではコウイカ・毛ガニ・とりがい・ホタルイカ・真蛸・もずく・わかめが該当するでしょう。
このように該当するものをいくつか抜粋してみましたが、かなりの量となっていますので、堪能する場合は非常に時間がかかります。
ただし、食べ過ぎると高確率で太ってしまいますので、自分の体重にも気を付けながら食べるようにしましょう。
穀雨の時期の風習は?
穀雨の時期における風習の中でも知名度が高いのは雑節の1つである八十八夜でしょう。
この八十八夜というのは立春から数えて八十八夜なので、だいたい5月2日や5月3日が該当するのです。
この八十八夜に合わせて摘まれたお茶は非常においしく長生きするという考え方が残っており、静岡や京都といったお茶で有名な場所は新茶のサービスといった特殊なイベントが開催されているのです。
昔から「夏も近づく八十八夜」という言葉で使われていましたが、この穀雨が終わると立春の季節に入りますので、まさにこの歌の通りとなっております。
ただし、この八十八夜という考えは二十四節気だけではどうしても発生してしまう季節のズレを修正し移り変わりを正しく認識させるために特別用意されたもので、これは日本独自のものとなっております。
他にこの雑節は節分・彼岸・社日・八十八夜・入梅・半夏生・土用・二百十日・二百二十日といったものがあり、いくつかは非常に有名なものとなっています。
穀雨の季節の花は?
穀雨の季節は4月の下旬から5月の上旬なので、その時期に見どころになる花や誕生花として設定されているのが季節の花となるでしょう。
有名どころではスイートピーやチューリップ、ハナミズキやマリーゴールドやフジ、ポピーやライラックなどが該当します。
それ以外にも、誕生花で考えるとカリフォルニアポピー・ルピナス・ムルチコーレ・ホシクジャク・牡丹・シャガ・モッコウバラ・ミヤコワスレ・カルミヤ・ローズマリー・ミヤコグサ・ムラサキハナナ・マーガレット・シバザクラ・フロックスなどが該当するでしょう。
七十二候の解説でもあったように牡丹が誕生花として登場していますので、この中でもひときわ目立っております。
日本ではそこまで重宝されていない牡丹ですが、中国では花の王様といった扱いを受けるほどかなり愛されている花なので、まさにぴったりと言えるのではないでしょうか。
穀雨以外の二十四節気一覧を紹介!
ここまで二十四節気の穀雨について詳しく解説してきましたが、他にも23個も存在していることはご存知でしたか?
それぞれにいろんな意味や由来があり、見てみると面白い内容になっています。
これを機に穀雨以外の二十四節気についても学んでみましょう!
立春
雨水
啓蟄
春分
清明
立夏
小満
芒種
夏至
小暑
大暑
立秋
処暑
白露
秋分
寒露
霜降
立冬
小雪
大雪
冬至
小寒
大寒
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は穀雨について詳しく解説いたしました。
日本では八十八夜といった特殊な風習がしっかりとのこっていますので、何らかのイベントを楽しみたいという方はお茶の名産地に訪れるといいでしょう。
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