皆さん「社日」という言葉を聞いたことがあるでしょう。
今回はこの社日の読み方から由来、どのような意味があるのかをわかりやすく解説し、春の社日や秋の社日はいったい何をするのかも記載してまいります。
カレンダーをたびたび見るけど良くわからない文字で埋め尽くされていると感じている人ならば、その中の良くわからない文字の一つが解決できるものとなるでしょう。
社日の意味や由来は?
社日の意味は生まれた土地の守護神である産土神を祀る日となります。
社日の「社」とは土地の守護神や土の神を意味する言葉なので言葉の意味が分かれば、どうしてこのように呼ばれているのかもわかるでしょう。
この考え方も古代中国からきているので由来は中国にあるといえるでしょう。
ただし、中国における社日は神様を祀る日というよりは人々が集まって一緒に飲食する日と考えられていたようで、日本での扱いがだいぶ異なっているようです。
それでも意味合いとしては土地の神を祀る行事の一つだったようで、日本古来の地神信仰や田の神信仰とミックスされたこのような形になったといえるのではないでしょうか。
また十干は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類が存在し、それを五行に二つずつ当てはめられて属性を表しています。
この五行と十干はいわゆる木・火・土・金・水の5つで、甲・乙が水、丙・丁が火、戊・己が土、庚・辛が金、壬・癸が水という分け方をされるのです。
その中でも十干の戊は「茂」に通じする存在で、陽気による分化繁栄が可能な時期であり動かない土を象徴している陽の干に属します。
そのことから土の神を祀る日としては最適と考えられ、雑節の社日が春分や秋分のそばにある戊の日となったのでしょう。
ちなみに、癸が春分の日や秋分の日になってしまった場合はこの日の前後の戊の日は、おんなじ5番目になってしまうことから春分と秋分になった瞬間が午前中ならば前の戊の日、午後ならば後の戊の日にするというお話が登場しております。
社日の読み方は?
社日とは「しゃにち」と読みます。
ついつい「しゃじつ」と呼んでしまいがちですが、「しゃにち」なので注意しましょう。
簡単に説明すると季節の移り変わりをつかみやすくするための雑節の一つで、同じ雑節には節分・彼岸・社日・八十八夜・入梅・半夏生・土用・二百十日・二百二十日といろいろとありますが、社日を含めて知らないものも多いのがこの雑節となっております。
2023年の社日はいつ?
2023年だと社日は3月21日(火)と9月27日(水)です。
社日とは春分または秋分に最も近い十干の戊(つちのえ)の日が該当します。
例外として春分日・秋分日が癸(みずのと)の日となる場合は春分と秋分になった瞬間が午前中ならば前の戊の日、午後ならば後の戊の日となるようです。
いわゆる二十四節気における考え方の素となった、太陽の黄道上の視位置によってゼロ度になった地点と180度になった地点が午前か午後かでわかれると考えましょう。
十干によるずれは毎年大きいので、最大で10日の差が生じると考えてください。
それでも秋分の日がだいたい3月22日と9月22日付近になりますので、その周りに社日が来ると考えれば大きく外れることはありません。
社日に行う風習や行事
社日にある基本的な行動は春の場合、麦や米などの五穀を奉納して豊作祈願をすること、秋の場合はその年にとれた最初の稲(初穂)を奉納して神様に感謝する祭事となります。
ただし、いろんな風習や変化によって行事の中身も全く異なっているのでこれらの行動がないところもあるでしょう。
例えば、土いじりは原則的にしないほうがいいといわれていますが、福岡県の筥崎宮で行われる秋季社日祭では海岸の砂を集めて清めるという内容になっているのです。
この真砂を神聖なものという考え方があり、竹で編んだ「てぼ」と呼ばれるかごが魔よけや災難除けに役立つということで玄関や戸口に備えるようになったのです。
豊作祈願とか神様への奉納による感謝とは全く中身が異なりますし、土いじりが基本的にNGという考え方と全く異なることもわかります。
他にも長野県小県郡(ちいさがたぐん)という場所では春に土地神様が山から下りてきて秋になったら帰っていくという考えから、春と秋の社日にはお祝いのために餅つきを行うとのことです。
京都府中郡では東に位置する寺やお地蔵さまに朝早くにお参りをして日の出を迎え、その後は南を巡って西にいって日の入りを見送るという風習があります。
群馬県の社日稲荷神社では江戸時代から続く「探湯神事(くがたちしんじ)」が行われ、神様の前に備えられた大釜で熱せられた熱湯を小笹を使って浴びるという厄除けが行われています。
なかなかに過激な祭事です。
奉納して感謝をする祭事というのはいろいろとありますが、その中でもとびっきり有名なのが今では勤労感謝の日に変わっている新嘗祭でしょう。
この新嘗祭では新穀で神様をもてなすと同時に、天皇陛下自らも新穀を食する神聖な儀式として非常に有名な祭事です。
社日祭のお供え物について
社日祭のお供え物はこのような祭事によってことなります。
基本的には土地の神様に感謝をして春には米・麦・栗・豆・黍(きび)か稗(ひえ)といった五穀を奉納し、秋にはその年の収穫に感謝するので初穂を奉納します。
ただし、これらのルールは地方によってかなり異なっているので必須ではないとお考え下さい。
ちなみに、春の社日にはお酒を飲むと耳が良くなると呼ばれており、そのお酒は治聾酒(じろうしゅ)と呼ばれているのです。
春の社日や秋の社日に行うこと
春の社日は春社(はるしゃ・しゅんしゃ)といい、豊作を祈っての祈願を行います。
秋の社日は秋社(あきしゃ・しゅうしゃ)といい、収穫に感謝をします。
ただし、社日は農耕をつかさどる父の神様を祀る日となっていますので、怒らせる行動は全てNGとなるのです。
具体的には土の中にいる神様を祀る日なので、土をいじったり掘り起こすといった行動がNGとなっていることが多いようです。
ただし、これは地方の風習によって考え方が異なっているので、どのようなルールがあるのかはいったん確認したほうがいいでしょう。
また、祭りの内容も地方によって大きく異なっているので具体的に何をするというのは決まっていないと考えたほうがいいです。
徳川幕府が大祭に認定した端午の節句や天皇が大祭に設定された新嘗祭などはやり方が大きく広まりある程度全国規模で同じようなお祭りをやるようになりましたが、そのように大がかりで語られなかった行事や祭事は地方ごとに大きな違いが出るようになっております。
なので、春や秋の社日では「必ず○○をする」というのはありません。
決まっていることはその土地にいる神様を祀ることだけです。
土をいじってはいけないという考え方も地方によって異なる可能性がありますので、共通認識として判断してはいけないでしょう。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は社日について詳しく解説いたしました、
昔からある雑節の一つですが、そこまで有名なものではなく地方の特色が圧倒的に強く出るのがこの社日です。
あまり大々的にイベントとして行われることも少ないので、このイベントに参加したいという方はまず社日が行われているところを探すところからスタートしましょう。
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