雑節って何?由来は?
雑節は日本の暦日として今も活用されている部分がありますので、理解すればより日本の暦を見るのが楽しくなります。
今回は雑節の意味やそれぞれの読み方について記載し、一覧カレンダーや由来についても記載して参ります。
雑節について知りたいという人はそれらの由来や日にちを一覧にして記載いたしますので、是非とも参考にしてください。
雑節って何?読み方は?
雑節とは二十四節気や五節句といった中国から伝わった暦日ではない日本オリジナルのものが主体となっている暦日です。
中国から伝わった物はどうしても季節感的なズレが発生してしまいますので、それらの暦日だけでは季節の移り変わりがつかみにくく、より正確に季節を示す目印として設けられた暦日となります。
ただし、暦に登場するのは明治20年頃と比較的新しく、歴史的には浅いと言えるでしょう。
ただし、地方独自の考え方から独特の進化をしているものを暦日として新たに取り入れたという側面もありますので、暦日認定が遅かっただけで、雑節に設定されている暦日にあるイベントや風習そのものはかなりの歴史があるものも多いのです。
雑節の意味や由来は?
雑節は二十四節気や五節句以外に季節の移り変わりが理解しやすくなるために設けられた暦日です。
具体的には節分(せつぶん)・彼岸(ひがん)・社日(しゃにち)・八十八夜(はちじゅうはちや)・入梅(にゅうばい)・半夏生(はんげしょう)・土用(どよう)・二百十日(にひゃくとうか)・二百二十日(にひゃくはつか)の9個になります。
この中には今でもしっかりと受け入れられて続いている物もあれば、名前を聞いたこともほとんどなくここで初めて知ったというものもあるでしょう。
二十四節気や五節句だけでは表せない季節の目安となる日を簡単にまとめたのが雑節となりますので、昔の人は大助かりだったでしょう。
基本的にそれぞれの由来は生活や農作業に照らし合わせ作られていますので、それらの文化や風習に基づいたものとなっています。
雑節の覚え方!
節分(せつぶん)・彼岸(ひがん)・社日(しゃにち)・八十八夜(はちじゅうはちや)・入梅(にゅうばい)・半夏生(はんげしょう)・土用(どよう)・二百十日(にひゃくとうか)・二百二十日(にひゃくはつか)のうち、節分や彼岸は今でも風習としてはっきりと残っているので覚えやすいでしょうが馴染みが薄い社日や半夏生あたりは頭の中から抜け落ちてしまうことがしばしばあります。
なので覚えるためのポイントはそれらのマイナーな雑節がいつなのかを丸暗記することであり、どのような日だったのかを簡単に覚えて連想できるようにすることです。
たとえば、社日は生まれた土地の守護神である産土神を祀る日であり豊作祈願と収獲に感謝する日となります。
つまり1年に春と秋の2回行われるということです。
半夏生とは「この日までに畑仕事を終える目安日」です。
このように覚えにくい雑節は何なのかを調べることからスタートして、どの日に設定されているのかも暗記していくしか無いでしょう。
雑節一覧カレンダー
それでは先に紹介した9つの雑節は一体いつなのか、どのような意味や由来があるのかを簡単にまとめていきましょう。
マイナーな物でも中身が理解できれば覚えやすくなりますので、文字だけ丸暗記するのでは無く何が行われる日なのかを理解することから始めてください。
そうすれば連想ゲームのように思い出すことができます。
節分【せつぶん】
節分とは今では「鬼は外、福は内」と良いながら豆まきをする日です。
なんとなくその行動から予想はできるでしょうが、「邪気を祓う日」となっております。
ただし、この節分とは二十四節気における季節の節目を示しており本来の意味なら立春・立夏・立秋・立冬の前日にあります。
ただし、年をまたぐ立春の前の節分が一番邪気が溜まると言われており、他の3つの節分よりは豪華な祭事が行われ、今では立春の前の日が節分となりました。
ちなみに、この豆まきは中国の鬼を追い払う行事である追儺が変化して一般大衆にも行いやすくなったものであり、元の追儺とはやり方も大きく異なっています。
2020年なら立春が2月4日なので節分は2月3日です。
彼岸【ひがん】
彼岸とは春分・秋分を中心として前後各3日を合わせた合計7日間の期間をさします。
2020年だと春分が3月20日で秋分が9月22日なので、3月17日から23日までと9月19日から25日までがお彼岸となっています。
今の日本ではご先祖様を供養する期間となっていますが、元々は仏教用語における迷いの世界から悟りの世界へ至ることやその過程の修行の事である波羅蜜からきています。
この波羅蜜を別の仏教用語で置き換えると到彼岸というのですが、いつからかこの彼岸が極楽浄土がありご先祖様が住まう場所という認識になって、東に此岸(この世)と西に彼岸(あの世)があるなら春分や秋分のように真東から太陽が出て真西に沈む日は一番彼岸に通じる日という考え方が誕生し、さらにそこから変化して「お彼岸=ご先祖様に供養する日」となったのです。
社日【しゃにち】
雑節の中でも特別に馴染みが薄い社日は春分または秋分に最も近い戊(つちのえ)の日が社日となります。
要するに3月17~25日と9月18~25日のどれかが社日ということです。
いわゆる生まれた土地の守護神を祀る日で、春の社日にお酒を飲むと耳が良くなるという風習もあります。
このお酒を治聾酒(じろうしゅ)と言うのです。
由来は古代中国では「社」とは土地の守護神という意味があるので、そこから社日になったと言われております。
八十八夜【はちじゅうはちや】
今の日本人でも聞いたことがある八十八夜は立春を1日目としてから88番目の日であり、霜が発生するかどうかを見極める日となっています。
2020年だと5月1日です。
そのため、農家の方々は本格的に畑仕事を行うかどうかを決める基準日となっていますし、お茶の場合は茶摘みを行う時期になるので、お茶にちなんだイベントが日本各地で行われています。
入梅【にゅうばい】
入梅は天気予報が発達していないときに設定された梅雨入りを示す日であり、2020年だと6月10日が該当します。
今では正確な気象予報がありますので、気象庁から梅雨入り宣言がされますが、昔は暦上の梅雨入りがこの入梅だったのです。
半夏生【はんげしょう】
これも現代日本では非常に馴染みが薄い雑節で、球上の黄経100度に達する日がこの半夏生となります。
2020年だと7月1日です。
半夏生は畑仕事や田植えを終わらせる基準日であり、関西では半夏生にタコを食べて豊作祈願をして香川ではおうどんを食べる日にもなっております。
由来は七十二候の1つである「半夏生(はんげしょうず)」からきております。
土用【どよう】
土用の丑の日でも知られている土用とは五行に由来する雑節で、四立と呼ばれる立春・立夏・立秋・立冬の前の約18日間が該当します。
五行思想では万物は火・水・木・金・土の5種類の元素から成り立つという思想があり、春に木気、夏に火気、秋に金気、冬に水気が割り当てられているのです。
そして足りない土用は季節の変わり目に割り当てられているのでこのような割り振りとなっています。
実際に365日を5で割ると73日となりますので、この割り振りが日にち的にもだいたい正しいことがわかります。
また、この土用の期間は土の気が盛んになるので土いじりがNGになるといった特殊なルールが存在します。
二百十日【にひゃくとおか】
二百十日とは立春から数えて設定された日であり、2020年だと8月31日となります。
本来の意味は台風に対する警戒を促す日だったのですが、関東大震災が9月1日にあったことからこの台風に対する警戒も合わせて防災の日に認定されて、その日を含んだ1週間が防災週間となっています。
本来ならば台風被害を警告する日だったのですが、今ではあらゆる震災を警告する日になったのです。
二百二十日【にひゃくはつか】
二百二十日も二百十日と一緒で台風に対する被害を警告する日であり、立春から数えて220に目のこととなっています。
2020年だと9月10日がこの二百二十日に該当しますが、意味は二百十日とほとんど同じであり、農家にとっての厄日となっているようです。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は雑節についての情報をまとめました。
馴染みが薄い雑節もどのような意味があるのかをある程度理解すればそこから日にちも特定できるようになっています。
しかし、社日や土用のような特殊なものもありますので、それらは由来なども含めて覚える必要があるでしょう。
それ以外は二十四節気に比べると覚えやすいので丸暗記が得意な人ならば直ぐに覚えられるようになっています。
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