現代のテレビやネットでも見ることのある春分や秋分、夏至や冬至といったワードを理解するためには、二十四節気の意味を理解する必要があります。
今回はこの二十四節気とはいったい何なのか、読み方や仕組み、わかりやすい覚え方を紹介します。
春分や秋分がなぜ祝日なのか、なぜそこまで大切にされているのかも二十四節気を理解することで見えてくるでしょう。
二十四節気の意味と読み方は?
「二十四節気」は「にじゅうしせっき」と読みます。
これは簡単に記載すると古代中国の春秋戦国時代(BC.770~BC.221)の黄河流域で誕生した、太陽の位置を元に考えられた暦です。
月の動きをもとにした太陰暦を使っていたといわれていますが、それではいろいろとずれが生じてしまったので、中国独自の考え方で使いやすく用いられた暦が作られたということです。
この二十四節気知るうえで必ず覚えておきたいのが黄道と黄経です。
地球から見た空を一つの球体として考えると太陽はこの球体を一年かけて一周する軌道を描くので、この道を黄道と呼び、この黄道を360度分割したものを黄経と呼びます。
そしてこの黄経が15度進むごとに節気が移り変わるようになっているのです。
また、二十四節気において重要な節気は春分・夏至・秋分・冬至という「二至二分」とそれぞれの節気のスタートとなる立春・立夏・立秋・立冬の「四立」となります。
1年は365日と6時間ぐらいなので、360分割して考える黄経では1日でだいたい1度進むようになっているので、15度進むということはだいたい15日進むということになります。
基本として「黄経が15度(約15日)進むごとに節気が移り変わる」ということと、春分・夏至・秋分・冬至がいつなのかを抑えれば簡単に覚えられるようになるでしょう。
それぞれの二十四節気の意味や由来
それでは具体的に二十四節気のそれぞれの節気が何になるのか、意味やイベントを交えて紹介します。
春(2月~4月)
立春
立春は「春が始まる季節」であり、立春がある日は太陽黄径が315度となります。
八十八夜といったイベントもこの立春から数えられているので覚えておくといいでしょう。
覚え方としては邪気を払うために行う豆まきの次の日が立春になるということです。
雨水
「雨水」はそのまま「うすい」と読み、「雪から雨に変わって植物が芽を出すシーズン」という意味があります。
日本では1月と2月の気温が同じことが多いので違和感を覚えますが、この二十四節気が発祥となっている中国内陸部 では1月よりも2月のほうが温かく春が近づいていると感じやすいのです。
時期的にはひな祭りがあるシーズンなのでイベントと絡めて覚えるのもいいでしょう。
啓蟄
「啓蟄」は「けいちつ」と呼び、太陽黄径が345度になったらスタートで、春分点のゼロ度になったら終わりとなります。
啓蟄の意味は「土の中の虫が元気に出てくるシーズン」となります。
日本では特にこれといった風習がない節気で、春分の前にくると覚えておけばいいでしょう。
春分
春分は「春の中間のシーズン」という意味があり、春分点は太陽黄径がゼロ度となった地点からのスタートとなります。
昼の長さと夜の長さが一緒の日なので、非常に覚えやすいでしょう。
日本では太陽信仰が古くから根付いており、真東から太陽が出て真西に沈む春分は非常に大切な日だと扱われていました。
そこに仏教的な教えである真西には彼岸があるという考え方がミックスされて、春分の日は先祖代々の御霊を祭る日という扱いになりました。
戦後すぐに法律が変わるまで、春分の日は「春季皇霊祭」という天皇の先祖代々の御霊を祭る日に該当していたのでお休みだったのです。
戦後の法改正で「春季皇霊祭」は使えなくなり、代わりに「春分の日」が誕生しました。
清明
清明は春分の節気が終わってから訪れる節気で、意味は「万物全てが成長して清らかに明るくなるシーズン」というものになっています。
中国の清明ではお墓参りのシーズンとなりますが、日本では特にこれといったイベントがない時期です。
お花見がしやすい季節なのでお花見をする人もいるでしょう。
穀雨
「穀雨」は「こくう」と読み、意味は「雨が穀物を発生させるシーズン」というもので、温かさを感じられる時期といえるでしょう。
この穀雨の終わりごろに八十八夜がありますし、ゴールデンウィークもありますので何かとイベントがいろいろとある時期です。
夏(5月~7月)
立夏
立夏は「夏の始まり」を表していますが、まったく夏を感じられない人も多いでしょう。
というのも、二十四節気が発祥となっている洛陽では梅雨がなく5月に一気に気温が上昇するので夏を身近に感じられるのですが、日本では5月はまだまだ肌寒く気温もそこまで上昇しないので夏といわれてもピンとこないのです。
イベントとしてはゴールデンウィークの後半と端午の節句があります。
小満
「小満」は「しょうまん」と読み、意味は「作物が膨らみ始めるけどまだ収穫はできないシーズン」となります。
はっきり言ってこれといったイベントもないシーズンなので、立夏の次の節気として覚えておけばいいでしょう。
芒種
「芒種」は「ぼうしゅ」と読み、意味は「穂の出るイネや麦といった植物の種をまくシーズン」となります。
これもかなり覚えにくいのですが、夏至の前の節気として合わせて覚えるか語呂合わせで覚えましょう。
大々的なイベントの一つは父の日でしょう。
夏至
「夏至」は「夏の頂点に至ったシーズン」という意味があります。
夏至におけるイベントは少ないですが、太陽信仰の名残が強い場所では天照大神の加護を最も受けられる時期ということでそれにちなんだイベントが行われることがあります。
小暑
「小暑」は「しょうしょ」と読み「炎熱に向かう時期」という意味があります。
本格的に暑くなる前ということです。
日本で行われるイベントとしては七夕や祇園祭がありますので、そこそこ覚えやすい時期でもあるでしょう。
大暑
「大暑」は「最も暑い炎熱の時期」という意味があり、日本でも本格的に暑くなる時期なので、大暑という表現もかなり納得しやすいでしょう。
ねぶた祭りや祇園祭といったイベントがありますので覚えやすいシーズンです。
秋(8月~10月)
立秋
立秋は「秋の始まり」を表す節気で、この立秋が始まると暑中見舞いではなく残暑見舞い になるので、贈り物がある人は注意しましょう。
イベントとしてはお盆やそれにちなんだ帰省ラッシュがありますので、覚えやすいです。
処暑
「処暑」は「しょしょ」と読み、「暑さが止む」という意味があります。
日本では8月の下旬でもまだまだ暑いので、この言葉通りに受け入れられないことも多いでしょう。
花火大会が多くなる時期で大きなイベントは特に存在しません。
白露
「白露」は「はくろ」と読み「草木に白い露が見られる」という意味があります。
要するに、気温が下がってきて露が出始める時期ということです。
イベントとしては9月9日にある「重陽の節句」があります。
秋分
秋分は「秋の中間」という意味があります。
太陽の位置を表す黄経がちょうど180度に来るので二十四節気的にも非常に重要な節気です。
イベントとしては春分の時も説明したように太陽が真東から真西に沈むということで彼岸に通じると考えられており、お彼岸があります。
昔は「秋季皇霊祭」という名前でお休みでしたが、今では「秋分の日」というお名前でお休みなのです。
寒露
「寒露」は「かんろ」と読み、意味は「露に寒さを感じる時期」となります。
特に大きなイベントもないので、覚えにくい時期です。
秋分の次の節気として覚えるしかないでしょう。
霜降
「霜降」は「そうこう」と読み、意味は「霜が降りてくる」となります。
この時期はハロウィンもありますので、今の日本人ならば覚えやすいでしょう。
冬(11月~1月)
立冬
立冬は「冬の始まり」という意味があり、11月15日の七五三がある時期なので、親の方々は意識しているでしょう。
小雪
小雪は「まれに雪が降る」という意味があり、「しょうせつ」と呼びます。
本格的に寒くなり始めるタイミングでもあるので納得はしやすいでしょう。
日本ではこれといったイベントがありません。
大雪
「大雪」は「たいせつ」と読み意味は「雪が盛んに降るシーズン」となります。
特にこれといったイベントがないシーズンです。
中国では仕事休めとして「針供養」をするといったイベントがありますが日本ではなじみがありません。
冬至
「冬至」は「冬の頂点に至った日」という意味があり、昼の長さが最も短い日となります。
冬至の節気にはクリスマスやお正月といった大きなイベントがあるので覚えやすいでしょう。
小寒
「小寒」は「しょうかん」と読み、冬至の次の節気で意味は「最も寒い時期が始まる」となります。
大寒
「大寒」は「だいかん」と読み、「最も寒い時期」という意味があります。
一つ前の節気である小寒が「寒の入り」で立春の前の日が「寒の開け」と呼ばれているので合わせて覚えておくといいでしょう。
大きなイベントとしては節分があります。
二十四節気の仕組みは?
春分・夏至・秋分・冬至
二十四節気とは地球と太陽との位置で決まる暦ですが、基準となったのが春分・夏至・秋分・冬至の4つです。
これらの意味は下記の通りです。
この4つをまとめると二至二分(にしにぶん)といい、今から3000年以上も前から存在していると言われております。
立春・立夏・立秋・立冬
二十四節気の二至二分の次にできたと言われているのが立春・立夏・立秋・立冬の4つです。
これら4つの意味は下記の通りです。
これら4つをまとめて四立(しりゅう)と呼ばれていて、それぞれ季節の始まりと言われています。
八節
先ほどの二至二分と四立を合わせて八節と呼ばれています。
二十四節気の中でも八節は非常に重要で、現在でもネットやテレビなどでその名称が取り上げられています。
八節から二十四節気
八節をさらに分けることで二十四節気が生まれました。
農作業の目安にするためには八節だけでは足りなかったため、もっと細かく分けて古代中国の春秋戦国時代に二十四節気が誕生したと言われています。
七十二候
二十四節気の後にもっと細かく分けられたのが七十二侯という暦です。
二十四節気の1節気の期間は大体15日前後ですが、七十二侯の1侯は5日前後です。
二十四節気は古代中国に由来していましたが、この七十二侯は日本独自のものがあります。
江戸時代に日本人の感覚とは違った部分を改良されたといわれています。
二十四節気の覚え方!
二十四節気をまとめて記載すると以下の通りです。
これらを覚えるためにまずやってもらいたいのが春分・夏至・秋分・冬至という「二至二分」とそれぞれの節気のスタートとなる立春・立夏・立秋・立冬の「四立」を丸暗記することです。
あとは三大小と呼ばれている小暑・大暑・小雪・大雪・小寒・大寒も覚えましょう。
小から大という流れになるので覚えやすいです。
問題はそれ以外の見たことも聞いたこともないような節気となります。
これは穴埋め式にどこに入るのかを暗記する必要があるでしょう。
よく使われる暗記の方法は語呂合わせなのですが、いくつかあるのでその中でもインパクトがあったものを紹介します。
「薄っ!ケチでせこくの消防の書は、乾燥させて石棺へ」
完全な語呂合わせですが、二十四節気が順番に入っているので結び付けるように覚えてください。
二十四節気に関するよくある質問まとめ
二十四節気とは具体的に何を指しますか?
二十四節気とは、中国の太陰太陽暦に基づく気象や季節の変化を示す24の区分を指します。
このシステムは、年間を等分することで農作業や日常生活における目安として利用されてきました。
日本を含む東アジア諸国でもこの概念が取り入れられ、現在でも季節感の指標として広く認識されています。
二十四節気の起源や歴史的背景はどのようなものですか?
二十四節気の起源は古代中国に遡ります。
農業が盛んだった当時の中国で、作物の栽培や収穫の目安として天文学的な観察に基づいて制定されました。
後に、このシステムは日本や朝鮮、ベトナムなどの東アジアの国々にも伝わり、それぞれの地域の気候や風土に合わせて適用されるようになりました。
二十四節気の中で最も有名や特に意味が深い節気はありますか?
二十四節気の中でも、「春分」と「秋分」は特に重要な位置を占めています。
これらは昼夜がほぼ等しい時期を示し、春と秋の中心的な節気として認識されています。
また、日本では春分の日と秋分の日が祝日として定められ、自然をたたえ、生きとし生けるものを思う日とされています。
二十四節気は現代の生活にどのような影響を与えていますか?
現代の生活において、直接的な農作業の指標として二十四節気が利用されることは少なくなりましたが、季節感を感じる指標や、日本の伝統的な行事・風物詩との関連で意識されることが多いです。
例えば、節分、七夕、お中元、お歳暮など、多くの行事や風習が二十四節気に関連しています。
二十四節気の名称やその意味はどのように決まっているのですか?
二十四節気の名称は、その時期の気候や天文学的な特徴を表す言葉で構成されています。
例えば、「大寒」は冬の最も寒い時期、「立春」は春の始まり、「小満」は作物が少しずつ実る時期を示しています。
これらの名称は、古代中国の観察に基づいて名付けられ、それぞれの節気が持つ特徴や意味を象徴するものとなっています。
二十四節気の中で最も暑い時期はいつですか?
二十四節気の中で最も暑い時期を示すのは「大暑」です。
通常、7月中旬から7月下旬にかけての期間を指し、この時期は多くの地域で年間で最も気温が高くなることが特徴です。
「大暑」の後には「立秋」が訪れ、徐々に暑さも和らいでいきます。
二十四節気はどのようにして日付が決まるのですか?
二十四節気の日付は、天文学的な現象に基づいて決まります。
具体的には、太陽の黄経が360度を24等分したものが基準となっています。
例えば、「立春」は太陽の黄経が315度のとき、そして「雨水」は太陽の黄経が330度のときに訪れるとされています。
「清明」とは何を意味する節気ですか?
「清明」は、春の節気の一つで、通常4月4日から4月6日頃にかけての日付になります。
この時期は、春の陽気が清らかで明るいことを意味しており、自然界が活発になり、植物の成長が著しくなる時期でもあります。
また、中国では清明節として祖先を偲ぶ日とされています。
二十四節気は日本のみならず、他の国でも使用されていますか?
はい、二十四節気は元々中国の太陰太陽暦に基づくものであり、中国を始め、韓国、ベトナムなどの東アジアの国々でも使用されています。
各国での日付や名称には微妙な違いがあるものの、基本的な概念や季節の変化を示す目的は共通しています。
二十四節気とは別に、「七十二候」というものも聞くのですが、これはどのようなものですか?
「七十二候」は、二十四節気をさらに細かく3つに分けたもので、合計72の季節を示す言葉です。
これは、より短い期間の気象や自然の変化を捉えるためのもので、例えば「立春」の後には「東風解凍」「蟄虫始振」「魚上氷」といった七十二候が続きます。
これにより、季節の移り変わりをより詳細に感じ取ることができます。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は二十四節気について簡単に解説しました。
はっきり言って雨水とか啓蟄といった名前から想像できない節気を覚えるのは難しいです。
なので、先ほど記載した語呂合わせで丸暗記しましょう。
日本では全くイベントがないシーズンもしばしばありますので、何がある節気なのかで覚えるのも大変なのです。
一つの基準として「二至二分」と「四立」を基準にして穴埋めできるようになりましょう。
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