睦月とは?習慣や主な行事は?
和風月名の一つに睦月がありますが、今の日本人は日常的に使わない代物なので、なじみが非常に薄いです。
今回はこの睦月はいったい何月に該当するのか、読み方や意味はどうなっているのか、語源や由来は存在しているのかも記載してまいります。
なんとなく言葉では聞いたことがあったけど、詳しく説明できなくて気になっているという方は要チェックです。
睦月とは?読み方は?
睦月とは「むつき」と呼びます。
この「睦」という漢字が今の日本では全く使われないので、馴染みも非常に薄いでしょう。
すごくわかりやすく解説すると、この「睦」という漢字は「親睦」とか「和睦」といった使い方ができる漢字で、音読みで「ボク」という読み方をすることができるのです。
「どこかで見たことがあるような」と感じた方は高確率で「親睦」とか「和睦」といった使われた方をしたケースでしょう。
また、この「睦」という漢字は「大変仲がいい様子」を表す「仲むつまじい」の「むつまじい」にあてはめることができます。
「仲むつまじい」を漢字にし直すと「仲睦まじい」となるのです。
睦月という読み方も、この「仲睦まじい」といった使い方と一緒と考えれば合わせて覚えることができるでしょう。
親睦や和睦という単語も仲良くするという意味が含まれていますので、訓読みの「むつまじい」でも同じような使い方ができるのです。
睦月は何月?語源は?
旧暦の睦月は今の1月に該当します。
その語源についても諸説ありますが、お正月が含まれる睦月はいろんな人たちが往来して人との付き合いが増える時期だから、仲睦まじくする月ということで「睦び月(むすびつき)」と呼ばれていたのが変化して「睦月」となったという説が有力視されています。
しかし、あくまでも一つの説なのでそれ以外にもいろいろとあるのです。
例えば、お正月を元旦と表現するように1月は「元月」と呼ばれていたが、その時の読み方が「もとつき」で次第に変化していった結果「むつき」になってこの漢字に変化したという説もあります。
それ以外には稲の実を水に浸す月という意味から「実月(むつき)」と呼ばれていたのが変化して「睦月」になったという説もあります。
また、睦月という名前以外に1月を表す言葉は非常に多く、初春月・新春・早緑月・太郎月・年初月・初歳・歳始・歳首などいろいろと存在するのです。
睦月の意味や由来
睦月の由来は語源で説明したように仲良くする「睦び月(むすびつき)」からの変化が有力候補です。
その言葉の意味も由来通りで仲良くしてもらいたいというシンプルな願いも込められています。
昔の日本でもお正月は鏡餅といった今でも続いている風習がありましたし、歯固や供御薬といった独特な行事があり、今のお正月よりも忙しかった可能性があります。
そのようなイベントがいろいろとある季節なのでそれだけ多くの人たちと触れ合う機会も多く、このような名前が付けられたのでしょう。
睦月の風習や習慣は?
お正月を含む睦月ははっきり言っていろんな風習があり、今でもいくつかは残っているのです。
その筆頭が鏡餅でしょう。
平安時代は「もちひかがみ(餅鏡)」とか「鏡」という名前で呼ばれていた鏡餅ですが、基本的に食べるものではなく飾るものという認識がありました。
また、その当時は鏡餅ではなく「餅鏡」と呼んでいたという記載もあります。
3が日には健康と長寿を祈るために「歯固」を行います。
動物が固いものを食べて歯固をするように、元旦から3が日まで餅に合わせて大根・瓜・芋・雉の肉などを摂取する風習がありました。
歯固による健康祈願が終わったら、愚痴は供御薬(みくすりをくうず)と呼ばれる儀式を行います。
こちらは歯固が終わった後に行われる行事なので連続していると考えましょう。
内容をざっくりと書くと、屠蘇と呼ばれる昔はものすごく貴重なお薬を典薬頭(てんやくのかみ)という地位にいる人と薬子と呼ばれる人が毒見をし、安全であるということが確かめられたのちに天皇に献上するという大切な儀式です。
他には今でも残っている風習として「書初め」があります。
この時期は地方によって異なることがありますが、基本的には1月2日に行われるものです。
書初めには元日に汲む水である「若水」を使います。
「若水」には「前の年に纏っていた邪気を祓って身を清める効果」が存在しているので、その水を使う書初めにも大きな意味があります。
その筆頭が運気の上昇でしょう。
ここでの書初めは7日までは貼り出して、そこが過ぎたらゴミ箱に捨てるのではなくどんど焼きに持って燃やしてもらってください。
燃やしたときに発生する煙が天高く昇ったら字がうまくなる可能性がより高まるといわれております。
睦月にある主な行事は?
お正月や3が日といったイベントに事欠かない睦月ですが、それ以外にもいろいろと行事は存在します。
今でも行われている睦月のイベントで有名なのは正月・書初め・御用始め・鏡開き・成人の日・どんど焼き・小正月といったところでしょう。
それ以外にも初薬師や白馬節会(あおうまのせちえ)といった行事も存在しており、イベントには事欠きません。
この中でも比較的知られていない初薬師について解説すると、昔は医者の数が今と比べて圧倒的に不足しており、何かあったときには神頼みするしかないという人が大勢いました。
ここで頼られる神様が日本では薬師如来になることが非常に多く、月に2回ある薬師の日に新年になって初めて行くことが初薬師と呼ばれていたのです。
この薬師の日は8日と12日と決まっていますので、今でも薬師如来をご本尊としているお寺ではこの日に何らかのイベントが開催されるようになっています。
白馬節会もかなりマイナーなので詳しく解説すると、1月7日に豊楽殿(後に紫宸殿(ししんでん))に出御して邪気を払うといわれている白馬を庭にひき出すという神事です。
今でも京都市北区の上賀茂神社や大阪府大阪市の住吉大社などで行われているので、見たことがあるという人もいるでしょう。
他には、イベントというわけではありませんが1月7日の人日の節句に七草がゆを食べるという風習があります。
いわゆる無病息災を願って行われるイベントなのですが、お正月のお祝い事で胃を酷使するので、その胃を休めるために行われたという説もあるのです。
ちなみに、この七草とはセリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロのことで、なんとなく聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
この七草がゆは地方独自の進化をしていることが多く、天候や環境によって七草がそろわないことがある東北地方では七草を使わない粥を炊くとか、九州南部のように鶏肉を加えるとか、根菜や油揚げなど大豆製品も加えるなどいろんなやり方が存在するので、違いを検証するのもお面白いです。
睦月の別名や異名(異称)
睦月にはいろんな別名や異名が存在します。
とりあえず列挙すると太郎月・建寅月・霞初月・孟春・早緑月・暮新月・三微月・初空月・子日月・初見月・初春月・王春・開歳・開春・解凍・嘉月・華歳・月正・元月・献歳・献春・歳始・歳首・主月歳・首歳・上春・初月・初歳・初春・初陽・始和・新春・青陽・泰月・大簇・端月・年端月・肇歳・年初・発歳・方歳・芳歳・甫年・昵月・陬月・孟陬・孟陽・履端・早緑月などものすごい数になります。
これでも全部ではありません。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は睦月について詳しく解説いたしました。
睦月はこのようにイベント盛りだくさんの1月なので、比較的覚えやすい旧暦となっております。
丸暗記の方法もいろいろとありますが、始まりの睦月は自然と覚えられますのでまずはこれを起点にすることから始めましょう。
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