七草粥を食べるのはいつなのかは、ご存知の通り1月7日です。
この日に七草粥を食べるのは何となく知っていても、その意味や由来まではあまり意識したことがないという人が多いかと思われます。
七草粥を食べるのは無病息災の意味もあるそうですが、正月休みでの食べ過ぎ・飲み過ぎで疲れた胃袋を回復させるという役割もあるそうです。
また、七草粥で使われる春の七草一つ一つにも意味や由来があるようなので、今回はそのことについて解説していきます。
七草粥はいつ食べるのが正解?
七草粥は1月7日に食べるのが風習ですが、正確には1月7日の朝に食べるのが正解だそうです。
前日の1月6日の夜に春の七草を刻んで下準備をし、翌朝の7日に調理して七草粥を食べるのが本来の食べ方とされています。
何故1月7日に七草粥を食べる風習があるのかと言うと、この日は「人日の節句」という人のための節句だからです。
五節句に数えられているうちの一つで、この日は無病息災を願う日とされています。
また、おせち料理などのお正月のご馳走から日常の食事に戻るための区切りとも言われています。
要するにお正月のめでたい気分を切り替えるための食事というわけですね。
ところで、冒頭で朝に食べるのが正解と書きましたが、現在では朝昼晩のいつ食べてもOKです。
食べるタイミングが遅れても大丈夫?
時間がなかったり、仕事が忙しいなどそれぞれの事情で七草粥を食べるタイミングを逃してしまったという人も中に入るでしょう。
七草粥は1月7日に食べるのが風習ですが、多少なら遅れて食べても大丈夫です。
七草粥は無病息災を願うためや厄払いに食べられてきた食事なので、その日に必ず食べなければいけないということはありません。
七草粥を食べること自体にに意味があるので、少しくらいなら遅れてしまっても気にせずに、自分のタイミングに合わせて食べても大丈夫だと思われます。
七草粥を食べる意味や由来
七草粥は無病息災を願うと共に、お正月のご馳走による食べ過ぎ・飲み過ぎで疲れた胃袋の疲労回復させる意味でも食べられています。
元々は中国にあった風習が平安時代に日本に伝わったのが由来とされています。
古来中国では1月1日を鶏の日、1月2日を犬の日、1月3日をイノシシ(もしくは豚)の日、1月4日を羊の日…というように、1月1日から7日までの間に動物をそれぞれ割り当てて、その日はその動物を殺してはいけないという風習がありました。
1月7日は人の日とし、この日だけは犯罪者を処罰しなかったそうです。
その日を「人日の節句」とし、七種類の野菜を使ったお吸い物などを食べて無病息災を願っていたそうです。
一方日本には「若菜摘み」という年初めに若菜を摘んで新しい命から生命力をいただく風習がありました。
その若菜摘みと中国の人日の節句の行事食が混ざり、七種類の若菜を入れた七草粥を食べる風習へと変化し、江戸時代に人日の節句が五節句のうちの一つと定められたことで、現在の姿になったとされています。
七草の種類
七草粥に使われる春の七草は「芹・薺・御形・繁縷・仏の座・菘(カブ)・蘿蔔(大根)」であることは、皆さんご存知の通りです。
何故この七種類が春の七草とされているのは定かではありませんが、この七種類には食欲増進・二日酔い解消・咳止め・気管支予防・解熱効果・肝臓回復効果などなど様々な効果が期待されています。
七草一つ一つにも意味が込められているので、一つずつ解説していきます。
芹
春の七草のトップバッターを飾るのは芹です。
水辺に競り合う様にして生えることが名前の由来です。
この名から「競り勝つ」という意味がこめられ、縁起のいい食材とされています。
独特の匂いが特徴で、解熱効果や胃を丈夫にする効果、利尿作用、血液をキレイにし高血圧や動脈硬化の抑制、血液中のコレステロールや老廃物を排出する効果など様々な効果が期待できます。
更にビタミンB2や鉄分、カルシウムなどの栄養素も豊富に含まれている栄養満点な食材でもあります。
薺
二番手は薺(なずな)です。
ぺんぺん草という名前の方が馴染み深いという人の方が多いかと思われます。
そうです、道端でよく見かけるぺんぺん草こそが春の七草の一つである薺なのです。
七草粥に使う場合は花芽を付ける前の若い芽の方を使用しています。
薺は「撫でて汚れを払う」という意味があり、縁起がいい植物とされています。
また、民間療法では古くから薬草として使われていたそうです。
そんな薺には解毒作用や利尿作用、止血作用の他に胃腸障害や高血圧、生理不順、むくみへの効果があります。骨粗しょう症改善に必要なビタミンKを多く含んでいます。
御形
御形は「ゴギョウ」または「オギョウ」とも言いますが一般的にはゴギョウです。
別名母子草とも呼ばれています。
「仏体」を表す縁起物とされています。
現在ではヨモギが草餅の材料に使われていますが、明治時代まではこの御形が草餅の材料として使われていたそうです。
そんな御形は喉の痛みや咳止めの効果があり、利尿作用やむくみの改善、内臓回復の効果も期待できます。喉の痛みと咳に効くことからハーブとしても知られています。
また、御形は七草粥の材料だけではなく、ハーブティーにして飲まれることもあるようです。
繁縷
繁縷は「ハコベ」、もしくは「ハコベラ」とも呼ばれている春の七草の一つです。
「繁栄がはびこる」という意味から縁起がいいとされていますが、道端や田畑などでよく見かける雑草なので見落とされがちな植物でもあります。
比較的どこでも見られる雑草ではありますが、中国では薬草として使用されていたようです。
日本では平安時代に書かれた「本草和名」という薬物書にも記されており、「万葉集」や島崎藤村の「小諸なる古城のほとり」にも繁縷が詩の中に登場し、更には正岡子規の俳句に使われていることから、日本人には馴染み深い植物とも言えるでしょう。
そんな繁縷の効果は腹痛の回復や鎮痛薬などがあります。
この他に気管支炎やリュウマチ、関節炎、胃炎、歯槽膿漏にも効果が期待できます。
繁縷には他に「コハコベ」「ミドリハコベ」「イトハコベ」の3種類あり、分類がややこしいとも言われている植物です。
春の七草に数えられる繁縷はコハコベの方です。
仏の座
春の七草の五番目手は仏の座です。
実は他にも仏の座と呼ばれている植物がありますが、こちらはサンガイグサという別名を持ち道端などに良く生えています。
ただし、こちらは食用ではありません。
春の七草に数えられる方の仏の座は別名小鬼田平子(コオニタラビコ)という名で呼ばれているキク科の植物です。
何故このようなややこしい名が付いたのかと言うと、小鬼田平子の葉が放射線状に広がる様子が仏様が座る連座のように見えたのが由来だそうです。
そんな子小鬼田平子こと仏の座には胃を健康にしたり、食欲増進や整腸作用の効果があります。
この他には歯痛や筋肉痛への鎮痛薬としての効能や高血圧予防の効果も期待できます。
菘
菘は「スズナ」と読み、「鈴菜」とも書きます。
可愛らしい名前ですがお漬物などではお馴染みのカブのことです。
現在の呼び名はカブですが、こちらの記事では菘の名前で統一して書きます。
菘は鈴のような姿をしていることから「神を呼ぶ鈴」と縁起物とされてきました。
日本以外にも古代中国やギリシャ、ヨーロッパなどでも食されている野菜の一つです。
そんな菘には胃腸を整え、商家を促進させる働きがあります。
この他に腹痛予防や風邪予防、便秘予防、胃潰瘍や胃炎の予防にも効果的とされています。
また、しもやけやそばかすとったスキンケアへの効果もあります。
根の部分と葉の部分にはそれぞれ栄養素があり、特に葉の部分にはビタミンA やビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、カルシウム、鉄分、食物繊維が豊富に含まれており栄養価が高いと言えます。
蘿蔔
最後を飾る蘿蔔は「スズシロ」と読みます。
「清白」とも書き、お洒落な名前なのですが、実は日本人にはお馴染みの大根の昔の呼び名のことです。
大根の根が白いことから「穢れのない純白さ」を表すとして蘿蔔と呼ばれていたとされています。
菘(カブ)と同じく、この記事では蘿蔔の名前で統一して解説します。
蘿蔔は昔から「医者いらず」と呼ばれるほど栄養価の高い野菜の一つです。
沢庵やお新香などでよく食される蘿蔔の根の部分には消化酵素とビタミンCが豊富に含まれており、葉の部分もビタミンやミネラル、カルシウム、鉄分、βカロテンなどの栄養価が豊富です。
そんな蘿蔔には風邪予防と消化促進、便秘の解消、解毒作用、血栓防止作用、冷え性、胃炎といった健康面において非常に効果的です。
また美肌効果も期待できる食材でもあります。
まとめ
何故1月7日に七草粥を食べるのかという、その意味や由来までは意識したことがありませんでした。
平安時代に伝わり、江戸時代には定着したようですが、こうしてみると、現在行われている年中行事のほとんどが江戸時代にその土台が作られたように感じます。
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