個人事業主の方が自宅で仕事をしていると色々と経費とそれ以外の境目が薄くなっていきます。
そこで、今回は個人事業主の方が引っ越しをする場合の費用はそもそも経費になるのかどうか、経費にすることができるのなら勘定科目はどういったカテゴリーになるのかも見ていきましょう。
どのように仕分ければいいのか、経費にできないものはあるのか、注意点はなんなのか、転居前と転居後でやるべき事は何なのかも調べていきます。
個人事業主の引っ越し費用は経費になる?勘定科目は?
個人事業主の方の引っ越しが経費になるかどうかは状況によって変わってきます。
まず、そもそも自宅と事務所が異なっているという個人事業主の方で、事務所を引っ越すのなら、引っ越し費用は全面的に経費として扱うことができるでしょう。
次は事務所と自宅が一体型となっているケースの個人事業主の方です。
こういった状況になっている方が引っ越しをする場合、仕事に必要なものに関する引っ越しならば経費としてあげられるがそれ以外の部分は経費にすることができなくなります。
自宅兼事務所になっている方が引っ越すときは仕事に使っている部分と自宅として使っている部分の割合を算出して引っ越し部分に該当する部分を経費計上することができるのです。
とてもザックリとした考え方ですが、自宅が100平方mで仕事スペースが50平方mだったという人は引っ越し費用の半分が経費計上できると考えてください。
仕事用のスペースだけを引っ越すのなら引っ越し費用を経費計上にすることは可能でしょう。
仕分けの方法について
次に問題となってくるのがそもそもの仕分けがどうなってくるのかといったお話でしょう。
これは結構細かいので注意してください。
まず、荷造りや搬出をしてくれる引っ越し業者への依頼料金の勘定科目は『雑費』です。
借方を雑費にして貸方を現金とします。
これがクレジットカードでの支払いならば2回に分けて記帳する必要があるのです。
1回目は借方は同じく雑費でいいのですが、貸方を未払金にする必要があります。
2回目は借方が未払金となり、貸方を普通預金にする必要があります。
また、引っ越し料金を『荷造運賃』で仕分けすることも可能とのことなので、扱いがちょっと難しいです。
段ボール箱などの荷造りにかかった費用だけを『荷造運賃』にするというケースもあるとのことで、やりやすい方を選びましょう。
次にちょっと面倒な扱いになるのが敷金と礼金です。
これを経費にするのなら敷金は『差入保証金』でしょう。
返金されたときは戻って来なかった分を『修繕費』にして経費計上してください。
引っ越すときに現金がいくらか戻ってきたのなら戻って来なかった分を借方の『修繕費』にして戻ってきた金額を借方の『現金』にするという形です。
貸方は『差入保証金』にしてください。
礼金は20万円以下なら『地代家賃』にして、20万円を超えるのなら『長期前払費用』にしましょう。
火災保険料は『損害保険料』になりますので、こちらも経費計上は可能となっています。
このようにかなり細かい仕分けが必要なので、間違えないようにしてください。
引っ越しの費用で経費にできないものは?
引っ越し費用で経費にできない物は仕事と関係ないものですが、自宅兼事務所の時はザックリと考えて仕事場のスペースの割合から算出するのが一般的です。
仕事上のスペースが3割だったという人は引っ越し費用の3割を経費として計上してください。
このように割合から算出するのが一般的ですが、事業に全く関係ない部分に関する引っ越し費用を経費にすることはできませんので、先ほどの料金割合で釣り合わない金額になっているのなら見直す必要があるでしょう。
引っ越しに大きな影響をもたらす事業に関係ないものと言えば、ドラムやピアノなどの楽器類や仏壇などが該当します。
これらは移送するのにかなりの額がかかりますが、仕事には関係ありませんので経費計上しないようにしてください。
例外として、音楽にまつわる仕事をしている方なら経費にすることはできますが、趣味に関する荷物ならば経費にならないと考えましょう。
引っ越し費用を経費計上するときの注意点
引っ越し費用を経費計上するときの注意点もいくつかあります。
注意点その1が引っ越しによくあるオプションが経費にならないと言うことです。
このオプションには先ほどお話しで出てきた楽器類や仏壇が含まれており経費計上できないことは覚えておきましょう。
注意点その2が明細についてです。
経費計上するのなら必ず明細が必要なので、できれば領収書を発行してもらいましょう。
電車の移動などの領収書発行が難しいものなら『出金伝票』などでも大丈夫ですし、レシート世亜クレジットカードの明細でも効力があるのでそちらを使ってください。
あとは確定申告についてです。
1月に引っ越すのなら申告書の提出先は移転後に管轄している税務署に行けばいいのですが、2月に確定申告を行って3月に引っ越すという人は、申告書の提出先が2月の段階での住所を管轄する税務署となるので注意してください。
個人事業主が引っ越しする時のやること一覧
次に個人事業主が引っ越しをするときにやることをまとめていきます。
転居前
転居前にやるべき事は以下のとおりです。
転居後
転居後にやるべき事は以下のとおりです。
サラリーマンも経費にすることができる?
今までは個人事業主のお話をしてきました、今度は一般的なサラリーマンについて触れていきましょう。
サラリーマンの引っ越しを経費にできるかどうかですが、結論を記載すると『会社都合の引っ越しは会社負担になる』と言えます。
ただし、就業規則や転勤取扱規則で会社事に色々とルールが決められていることが多くまずはそちらを確認する必要がありますので、まずは会社側に確認をとってください。
基本的には家族がいても移転のための交通費や引っ越し費用は会社側が支払ってくれますし、礼金や敷金や仲介手数料も会社側が負担してくれることが多いです。
ただし、ペットを飼っているために原状回復にかかる費用が多くなったなどの問題があると、そういった費用は別途自分で支払う必要性が出てきてしまうので注意してください。
まとめ
以上、いかがだったでしょうか。
今回は個人事業主の引っ越し費用は経費になるのかどうか、勘定科目はどうなるのかを紹介しました。
経費にすることは基本的にできますが、勘定科目は敷金礼金などを含めるとかなりバラバラになってしまうので間違えないようにしてください。
サラリーマンの方でも引っ越し費用は会社都合ならば経費にすることができますので、どういった引っ越しにまつわる会社規則があるのかの確認をすることが重要になります。
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